たかの社会保険労務士事務所

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「静かな退職」は甘え?それとも現代の生存戦略?


1.静かな退職の正体

「静かな退職」とは、実際に辞表を出すことではありません。「仕事=人生」という価値観から一歩引き、給料に見合った分だけの仕事をこなすというマインドセットのことです。

・定時なったら即座にログアウト。

・「期待以上の成果」という呪縛から自分を解き放つ。

・メールの返信は翌朝でOK。

かつての「24時間戦えますか?」というモーレツ社員時代を知る人から見れば、少し寂しく、あるいは不真面目に映るかもしれません。しかし、これは怠慢ではなく、自分自身のメンタルを守るための防衛本能とも言えます。

2.なぜ今、みんな「静か」になっているのか?

かつては「頑張れば報われる(昇進・昇給)」という明確なリターンがありました。しかし、今の時代、頑張りすぎた結果待っているのが「さらなる大量の仕事」だけだったら……?

・燃え尽き症候群の回避: 常に120%で走り続けるのは、エンジンのオーバーヒートを招くだけ。

プライベートの再定義: 仕事は人生の一部であって、全てではない。

冷ややかなリアリズム: 会社に尽くしても、会社が一生守ってくれるわけではないという気づき。

3.「静かな退職」を実践するメリット例

【社員本人】
残業が減り、趣味・副業・育児など「自分自身の人生」に時間を投資できる。(ワークライフバランスの実現)

【企業】
残業代の削減により労働生産性が向上する可能性がある。

4.「静かな退職」を実践するデメリット例

【社員本人】
昇進・昇給のチャンスを逃しやすく、将来的な生涯賃金が下がる可能性がある。また、挑戦的な仕事から遠ざかるため、市場価値が停滞し、転職が必要な時に苦労する。リストラの候補になりやすい。

【企業】
意欲のある社員(野心家)に負担が集中し、彼らが「本当の退職」をしてしまう。

5.「ちょうどいい」働き方の見つけ方

このムーブメントのポイントは、❝「不真面目になること」ではなく「境界線を引くこと」❞にあります。

「Yes」の安売りをやめる: 何でも引き受けるのではなく、自分のキャパシティを把握する。

趣味や副業に情熱を分散させる: 感情の投資先を仕事以外にも持つことで、職場でのストレスが相対的に小さくなります。

「静かな退職」は、単なる消極的なボイコットではなく、燃え尽きを防ぎ、長く健やかに働き続けるための「持続可能な働き方へのセルフ調整」といえます。

企業にとっても、社員が自分の生活やメンタルを自分でコントロールできている状態は、長期的な離職リスクを抑え、安定した組織運営を支える「健全な境界線」となり得ます。

大切なのは、組織と個人が「どこまでをプロとしての責任範囲とするか」という合意形成を丁寧に行い、互いに納得感を持って貢献し合える関係を築いていくことではないでしょうか。

(投稿日2026年2月11日)


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