今年は長く厳しい酷暑でしたが、ようやく落ち着き、秋らしい気候が感じられるようになってきました。この季節になると、毎年のように日本列島を襲うのが台風です。台風は企業活動に大きな影響を与える自然災害の一つであり、従業員の安全確保と業務継続の両立が重要な課題となります。今回は、台風接近時に備えるための労務管理のポイントを整理してご紹介します。
1. 就業規則・社内ルールの整備
まず大切なのは、台風や積雪などの悪天候時の対応方針をあらかじめルール化し、就業規則や社内規程に明文化しておくことです。たとえば、以下のような項目を盛り込むとよいでしょう。
・暴風警報や特別警報発令時の操業判断
・出社可否の判断基準
・休日の振替、年次有給休暇の取得、欠勤・遅刻・早退の取扱い
・在宅勤務(テレワーク)への切替え方法
こうした対応方針を明記し、平時から従業員に周知しておくことで、緊急時の混乱を防ぎ、落ち着いた対応につながります。
2. 安全配慮義務の徹底
企業には、従業員の安全に配慮する義務があります。台風接近時に無理な出社を求めることは、通勤中の事故や通勤災害のリスクを高め、結果として企業責任を問われる可能性もあります。
近年は事前に「計画運休」が発表されるケースも増えています。公共交通機関の運休や大幅な遅延が見込まれる場合には、テレワークへの切替えや休日の振替・年次有給休暇の取得奨励など、柔軟な対応を検討しましょう。
3. 労働時間・賃金の取扱い
台風による警報発令や交通機関の停止などにより出社できなかった場合、賃金の支払い区分が問題となります。
一般的には、
・会社の判断で休業させた場合:休業手当(少なくとも平均賃金の60%以上)の支払いが必要
・従業員の自主的判断や不可抗力(例:公共交通機関の全面運休)による欠勤:ノーワーク・ノーペイ原則により、賃金支払い義務はなし
ただし、判断が難しいケースもあるため、想定される対応をあらかじめ整理・共有しておくとスムーズです。
4. 情報伝達の仕組み構築
気象情報や交通機関の運休情報をもとに、会社から従業員へ迅速に指示を伝達できる体制を整えておくことも重要です。
具体的には、
・緊急連絡網の整備・定期的な更新
・従業員の緊急連絡先の把握
・企業向け安否確認サービスの活用の模索
などが挙げられます。
台風接近時には、「操業の有無」「出社可否」「今後の予定」などを速やかに周知できる仕組みを確立しておきましょう。
5. 事後対応と見直し
台風通過後には、従業員の安否確認や職場の安全点検を行いましょう。さらに、対応を振り返り、課題や改善点を整理して次回に備えることも大切です。就業規則や対応マニュアルの見直しを定期的に行うことで、より実効性の高い防災体制を構築できます。
6.さいごに
台風接近時の労務管理は、事前準備がすべての鍵です。従業員が安心して働ける環境づくりのために、平時からの備えとルール整備を心がけましょう。
記事参考「新日本法規出版株式会社」
(投稿日2025年11月4日)
